作家との出会い

私にとって読書の最大の楽しみは、作家さんとの出会いです。

作家さんにはそれぞれの個性があり、ストーリー展開も文章の書き方にも当然違いがあります。本を読み進めていくと、それぞれ違う文章の言い回しや言葉の使い方の向こう側に、作家さんの素顔や人となりが見えるような気がします。そして、その作家さんの人柄、考え方、人生観などが何となく想像できます。その出会いが、私の読書の一番の楽しみなのです。

ストーリーテラーとしての魅力

作家さんたちが描かれる想像の世界、あるいは臨場感溢れるノンフィクションの世界は素晴らしく、思わず引き込まれてしまいます。どんな本でも一つとして同じストーリーはなく、一冊読むたびに、どうしてこんなストーリーが思いつけるのだろうと、とても不思議な気持ちになります。ミステリーなどは、特にそうです。思いがけないトリックやストーリー展開に驚かされることも、しばしば。

それはきっと、作家さんの優れた洞察力や考察力、想像力、経験、丹念な取材などに裏打ちされているからでしょう。そして、大変な産みの苦しみを味わって、一冊の本が完成するのでしょう。だからこそ、多くの人を感動させるストーリーができあがるのでしょうね。

人間的魅力

ストーリーテラーとしての魅力以上に、私が最も楽しみで感動するのは、物語や文章を通してわかる、その作家さんの人としての魅力に触れた時です。面白くて感動した多くの物語や文章を通して見える作家さんの人間像は、どなたも人間的魅力に溢れています。この作家さんに出会えて良かったと、嬉しくなります。

私は一人の作家さんにハマると、その方の本ばかり集中して読みます。そしてある程度読みつくしたと思った時や、友人から勧められた時に、また別の作家さんの本に移ります。初めての作家さんの本を読む時は、どんな方でどんな文章を書かれるのだろうと、ワクワクします。これは私の趣味ではないなと思うと、その一冊だけで終わりになることも、または途中でやめてしまうこともありますが・・・。

私が好きな作家さんたちに共通していることは、どなたも全員、温かい。登場人物に注ぐ眼差しが、とても温かいのです。それは根底に、人としての優しさがあるからでしょう。

そして思慮深い。物語全体、あるいはその中の数行の文章から、私なんか思いも寄らない奥深い考えが秘められていることに気づかされ、教えられることが多くあり、人生観に影響を受けることもあります。そのようなことが書ける作家さんたちの思慮深さに、また感動してしまいます。

作家さんたちの経歴を知ることも面白く、なるほど、こんな物語を書けるのはこんな経歴や背景があったからなのかと、納得できます。そして、自ずとその方の人生観などもうかがい知ることができます。

このように読書は、ストーリーテラーとしての魅力だけでなく、作家さんの人間的魅力に触れることができるのです。

だから読書はやめられない

今、私の好きな作家さんは20余名います。皆さん全員がそれぞれ個性はありますが、人としての優しさ、温かさ、思慮深さを持ち合わせていて、とても魅力的です。文章を通してそれに触れると、私も優しく温かい気持ちになれて、人生が豊かになったような気にもなってくるのです。だから読書はやめられません。

読書の楽しみ、即ち、作家さんの魅力との出会いです。 皆さんも本をたくさん読んで、お気に入りの作家さんを見つけて、その魅力に大いに触れていただきたいと思います。